カエル
数日前のこと。
昔からエアコンの冷房が苦手で、今年はずっと使ってなかったのだが、このところの暑さに音を上げ、とうとうつけることにした。
その前にまずフィルターを掃除しようと、カバーを開ける。
すると、中から何か黒くて小さい物がころんと落ちてきた。
何だろうと思って拾い上げてみると、それは、からからに干からびて、一センチもないほどに縮んだカエルのミイラだった。
どうやら、室外機からパイプの中を通ってフィルターの裏まで登って来たらしい。
そのあまりの小ささに、一瞬、子どものカエルか? と思ったが、よく考えれば、カエルの子どもはオタマジャクシである。
もう一度水を吸収すれば生き返るんじゃね? カエルだけに。
つまらない冗談を呟きつつ、外に逃がしてやる。
いや、放り投げただけだが。
生き返ったカエルが恩返しにくることをひそかに期待しているのだが、一向にやってこない。
美人の女性に化けて来て欲しいのだが。
そんで、かいがいしく私の世話をして欲しいのだが。
で結局、夜中に元の姿に戻って機を織っているところ私に見られてしまい、泣く泣く帰るのだ。カエルだけに。
つまらない。
暑さのせいである。