べっちょない日々

作家の末席を汚しつつ、しぶとく居座る浅田靖丸のブログ

パスタ三昧

 料理が好きなのである。
 と言っても、いんげんとなんとかのごま和え、とか、なんとかとなんとかのおひたし、とか、なんとかとなんとかのなんとか、というような、箸休めに出したら小粋なやつじゃない? そういうのがさっと作れるとカッコよくない? みたいなのはまったく作れない。
 私が作るのはもっぱら、カレーや麻婆豆腐、親子丼や牛丼などの丼もの、鶏のから揚げにハンバーグといったような、大皿で「どん!」と出すような料理ばかりである。
 その中で、近頃特にハマっているのが、パスタである。
 いや、パスタ自体にはずいぶん前からハマっているのだが、作る頻度が最近はとみに上がってきているのである。
 パスタはいい。パスタは好きだ。なにがいいって、なにをどう作ってもそれほど変な味にならないのがいい。もちろん、プロの料理人が作るパスタには到底敵わない出来ではあるが、そんなにひどい味にもならない、そういう適当さがいいのだ。


 ということで、唐突ではあるが、最近作ったパスタをいくつか紹介させていただく。

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 まず、フェットチーネのアラビアータである。ソースは缶詰なのでちょっと手抜きである。厚めに切ったベーコンがうまい。

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 ジェノベーゼ。エビとイカが入っている。本当は松の実も入れたかったのだが、なかった。バジルはベランダで栽培してるもの。でかい。

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 ナポリタン。ナポリタンにはソーセージとピーマンである。今回はナスも入れてみた。
 ちなみにナポリタンは日本発祥のメニューで、イタリア人にナポリタンを紹介すると激怒するらしい。彼らはケチャップをソースにするということがどうやら許せないらしい。しかし食べさせると、怒りながらもうまいと絶賛するらしい。我々が、寿司にアボカドやマンゴーを巻かれると、ええ!? となるのと同じかも知れない。ええ!? とはなるがちょっと食べてみたいのも同じだろう。

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 ナスと豚肉のトマトソース。またナスである。なぜナスばかりかと言えば、父親が家庭菜園でバカほどナスを作ったからである。今年の夏は父親の作るナスとゴーヤ、ピーマンに追い立てられる日々である。もう少し考えて栽培して欲しいものである。


 これらの他にも、たとえばペペロンチーノなんかは、もう何年も前から作り続けていて、常に改良を重ね続けている。
 それはもう研究者や求道者のような取り組み方である。というより、研究しすぎて、もはやなにをどうすればいいのか、自分でもよく分からなくなっている。
 最初のころは、なにも知らずにバターやコショウを使ってペペロンチーノのソースを作っていた。それが禁忌の技であることを知ったときの衝撃ったらなかった。それから、正統とされる作り方を調べてそのように作り始めたのだが、それがどうにもうまくいかない。あんまりおいしくない。結局、野菜を足したり醤油を加えたりしてごまかしてしまう。
 かといって、バターやコショウを使う邪道に戻れば理想の味になるのかというと、そうでもないのである。難しい。さながら迷宮をさまよう亡者のごときである。
 周囲には「私のペペロンチーノは常に進化している」とうそぶいてはいるが、実は自分でもどうすりゃいいか分かんなくなって手当たり次第に思いつくことをぶち込んでいるだけである。
 どなたかこの迷宮を脱出する術をご存知のかたは、どうかご教示いただきたい。

 ともあれ、パスタはんまい。
 何度食しても飽きない。
 しかし、パスタには重大な副作用がある。
 太る。
 そりゃもう食べたら食べただけ太る。
 おかげで、この猛暑にもかかわらず体重は増加する一方である。
 もともと、夏の暑さにはめっぽう弱いくせに、何故か食欲だけは衰えないというタイプではあるが、今年はそれが特に顕著に現れている。なんか食べちゃうのである。
 そう思って改めてパスタの写真を見ると、量が多い。
 自分で作っておきながら、ちょっと愕然とする。
 これをひとりで食べるのだから、そりゃ太るはずである。
 私もそろそろいろいろとわきまえなければならないのかも知れない。欲望のままに突っ走っている場合ではないのかも知れない。
 などと反省しつつ、今日もまた大量のパスタを茹でてしまうのである。