トイレの蓋で一句
私は、トイレは大小の別に拘わらず座ってする派である。
大は座ってするくせに小は立つということこそ、男尊女卑にも通ずる男という性への特権階級的差別意識が潜在意識下にあるからである、などという理屈はまったくなく、ただ単に癖である。
で、最近ぼーっとしながらトイレに行くことが多く、ぼーっとしながらトイレの蓋を開け、ぼーっとしながら便座に座るのだが、ぼーっとしているせいで、トイレの蓋が開け切れていないことがままあるのである。
するとどうなるかというと、開け切れていない蓋が途中で止まり、それに気が付かないまま座ろうとした私の尻に、蓋が刺さるのである。
そして私は、
蓋の上に半ば乗っかかった状態で、
……あれ?
ええと。
どうなってんだ?
と数瞬戸惑うのである。
そんなことが、ここ三日連続で起きているのである。
どう? こんな四十路男の日常。
秋深し 尻に当たる 便座の蓋の冷たさ
と自由句を詠みたくなるのもわかってもらえるだろうか。