べっちょない日々

作家の末席を汚しつつ、しぶとく居座る浅田靖丸のブログ

新年のご挨拶

 大変遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
 ここ数年、ブログの更新をサボり続けてしまったので、今年こそはなんとか、ちょっとずつでも記事を挙げていこうと決心した矢先、残念なことに年明け早々大層な風邪を引いてしまい、ずるずると今までほったらかしになってしまっていた。
 残念と言えば、私がまだ四歳か五歳の頃のこと、誤ってすべり台の上から転落し、頭を強く打ったことがある。
「ああ、なるほどそれでそんな残念な感じに……」と思ったかた、黙っていても先生には分かっているんですよ。素直に手を挙げなさい。今なら怒りませんから。(このネタ、以前にも一度やったような気がする。まあいいや、持ちネタにしてやる)
 というより、私のどこが残念なのだ。残念だと思うひとは、400字以上2000字以下のレポートにまとめてメールで送ってきてください。いや、やっぱり止めてください。本当に送ってこられたら、きっとおじさん泣いちゃう。

 強い衝撃のあと、斜めにずれた公園の風景と、どんよりと曇った空が見えた。右の頬が、生温かいもので濡れているのが分かった。なにか不吉な思いに駆られて、起き上がって逃げ出したくなったが、体がまったく動かない。なにがあったのか、まったく分からない。一緒に遊んでいたはずの友達の、泣きわめく声が聞こえる。そこで初めて、自分が地面に倒れていることに気が付いた。そのことに気が付いた途端、全身に凄まじい痛みが走った。体が粉々に砕けてしまうのではないかと思うほどの、強烈な痛みだ。耐えきれず身をよじろうとするが、相変わらず体は動かない。痛い痛い痛い痛い。声に出ない悲鳴を上げながら、唯一動く目で、必死に辺りを見回した。公園には友達以外に誰もいない。錆びたブランコ、ペンキのはげたジャングルジム、四角くく区切られた砂場。視界の右端に見える赤いものは、血だ。血はどんどんと広がり、辺りを赤く染めていく。友達の泣き声を聞きつけたのか、近所のおばさんが血相を変えて駆け寄って来るのが見えた。とその瞬間、視界が真っ暗になり、意識が途切れた。

 というように、そのときのことを克明に覚えていればよかったのだが、あいにくまったく覚えていない。落ちた記憶すらない。
 ただ、母親からそんな事故があったと聞かされたことと、そのときに作った、顎の下と右の眉尻の傷跡が、事実であることの証明である。
 特に顎の下の傷はひどかったようで、何針か縫われた跡が、四十年経った今でもうっすらと残っている。
 その傷跡のせいで、髭を剃る際、顎の下あたりがうまく剃れずにいつもまばらに髭が残ってしまうのである。
 それが残念なことなのである。
 なんだそのくだらないオチは。というか、新年最初の記事のテーマが「残念なこと」って、どういう神経してんだ。それがなにより残念だわ。と思ったひと、手を挙げなさい。先生も同じことを思ったので怒りませんよ。