べっちょない日々

作家の末席を汚しつつ、しぶとく居座る浅田靖丸のブログ

詣で部活動報告 その一

 最初は、映画を観に行く予定だったのである。
ドラゴンタトゥーの女」が観たかったのだ。
 しかし、その道中に、神社に寄ろうと計画したのが間違いのもとだった。
 そもそも、「詣で部」という部活動をしようというのは、何年も前からの構想であり――呑んだときに勢いでぶち上げただけの話ではあるのだが――最初に訪れたい神社の決まっていたのである。
 ちなみに、「詣で部」とは、「もうでぶ」と読む。もうデブ、ではない。発音が一緒だし、初めてキーボードで打ったとき「もうデブ」と変換されたし、確かに私はもうデブだが、もうデブとは呼ばないで欲しい。思ったことをすぐ口にするのは大人じゃないぞ。もうデブだなと思うだけのことと、それを「もうデブ」と口にすることとのあいだには、雲泥の差があるのだぞ。書いてて泣きそうになってきたぞ。
 この「詣で部」、何をする部かと言えば、ただ単に、神社仏閣巡りである。
 私が独断と偏見で選んだ神社や寺に、気が向いたときに参拝しようという部なのである。
 部員は言わずもがな、映画部と同じK夫妻である。
 しかしこの詣で部、立ち上げたはいいものの、なかなか活動できなかった。
 寒い、暑い、眠たい、酒の方がいい、など、部活動を阻む重大な問題が常に立ち塞がっていたからである。
 このままではいけない、と一念発起して考えたのが、映画部と抱き合わせて活動すれば良いのではないか、ということだった。
 映画館に向かうとき、集合時間を少し早くして、その時間に神社に寄れば一石二鳥だと思ったのである。
 我ながら名案だと思った。
 何故今までそんな簡単なことに気が付かなかったのだろう。
 私のバカバカ。
 しかし私は、自分で思っていた以上にバカだった。
 とりあえず、上映時間まで二時間以上前に集まった我々は、活動の一発目に行こうと決めていた神社へと向かった。
 西脇市大木町にある、「天目一神社」という神社である。
「あめのまひとつ」と読む。
 鍛冶、つまり製鉄の神様である。
 その辺りは、昔、製鉄が盛んな土地だったようである。
 鉄を製錬する際、片目で火の色を確かめるため、その片方の目だけを悪くする者が多くいたらしい。
 そのため片目の神様を祀るようなったのだという。
 この辺りには妙見山と呼ばれる山もあるし、鍛冶屋、というそのままの場所も近くにある。
 同じ西脇市とはいえ、私が育った場所とは少し違った根っこを持つ場所のようで、以前から興味があったのである。
 度々その前を通り過ぎることはあったのだが、ちゃんと立ち寄ったのは、今回が初めてだった。

天目一神社

道から眺めていた印象では、こぢんまりとした小さな神社のように思っていたのだが、実際近づいてみると、その印象以上に立派な、風格のある神社だった。

拝殿を正面から


拝殿の奥には本殿もある

 念願だった天目一神社に参拝できて感無量だったのだが、時計を見ると、十五分しか経っていない。映画の上映まで、まだ時間はたっぷりある。どうしよう。もう一社寄るか。

 このときの何気ない判断が、のちにどれだけ浅はかなものであったかを思い知ることになるのだが、長くなるので続きはまたのちほど。