べっちょない日々

作家の末席を汚しつつ、しぶとく居座る浅田靖丸のブログ

ルパン三世の新作の話


 先週から、GyaOで「ルパン三世」の新作アニメが配信されている。
 詳しくは分からないが、関東地方のみでテレビ放映されていて、その他の地域向けに、GyaOなどの動画配信サイトにUPしているというようなことらしい。
 ネットの恩恵である。今までは観ることができなかった作品が、そうして観られるようになるというのは、視聴者としては喜ばしいことである。
 テレビ局の希望や思惑は別にして、これからはそのような方向に流れていくだろうなと思うが、テレビ放映とネット配信が同時に行われるのが当たり前になると、マスコミのシステム自体が大きく変わってしまうだろうとも思う。少なくとも、スポンサーからの広告収入だけではやっていけない時代になるに違いない。
 まあ、そんな心配はマスメディアの偉い人たちに任せるとして、我々は、素晴らしい作品との出会いを大いに楽しめばいいのである。

 で、このルパン三世の新作のテレビアニメシリーズ、正確には「LUPIN the Third ―峰不二子という女―」というタイトルなのだが、この作品が。

 何というか。

 とてもいい。

 のである。

 わざとらしく行間を空けたのは、私の感動を伝えようとしてのことなのだが、伝わるのか? 手法を間違っているんじゃないか? 大丈夫か? という煩悶はひとまず脇に置いておく。そういうことは、あとでひとりで悩め俺。

 この作品、今までのテレビシリーズとは明らかに質が違う。
 まず、ルパン三世ではなく峰不二子を主人公に持ってきたことが何よりの違いである。
 そしてそれは見事に成功している。
 イメージで言えば、最初期のルパン三世(ルパンが緑のジャケットを着ているころのやつである)に近いが、それよりも、さらにハードでエロティックで大人な作品になっている。

 そのハードさが。

 だから。

 とてもいい。

 のである。

 二度も使う手法じゃないな。これではまるで馬鹿みたいである。それも、「とてもいい」を重ねて使っているところが馬鹿に拍車をかけている。ボキャブラリーが少ないと思われるだけだろーが。いや実際少ないのだが、そんな弱点を自らわざわざ晒してどうするよ。もっとよく考えろよ俺。

 これまで、私を含めた多くのルパン三世ファンは、峰不二子のことを「不二子ちゃん」と呼んでいたはずである。それは作中でルパンがそう呼んでいたのに引っ張られてのことであろうが、この作品を観たあとでは、もう彼女を、誰も「ちゃん」付けでは呼べないであろう。それほどの魔力を、今回の峰不二子は持っている。
 そう、今作の峰不二子は、途轍もないくらいの妖しい魔力を放っているのだ。
 その魔力に、誰が抗えることなどできようか。いやできはしまい。(反語)
 少なくとも、その魔力に絡み取られて逃れられなくなっているのだ。私が。(倒置法)

 うむ。これで先ほど露呈した馬鹿さ加減を少しは回復させただろう。やれやれ……って回復しねえよ。回復させようとして披露する知識が中学生レベルだよ。墓穴を掘ってるよ。
 
 ということで、ってどういうことか分からないが、この「LUPIN the Third ―峰不二子という女―」という作品、ルパン三世のファンの方も、そうでもない方も、そもそもルパン三世なんて知らないという方も、ワタシニホンゴワカリマセンネーという方も、是非観て欲しい。
 峰不二子のトリコになるはずである。