「プロメテウス」鑑賞
「プロメテウス」
監督リドリー・スコット 出演ノオミ・ラパス マイケル・ファスベンダー ガイ・ピアースなど
あらすじ
数々の古代文明の遺跡から、共通のサインが見つかる。それは、とある惑星を指し示すものだった。そのサインが人類を創造した知的生命体からのメッセージであると解釈した考古学者エリザベス(ノオミ・ラパス)は、恋人で学者のホロウェイやアンドロイドのデヴィッドら、十七名の乗組員とともに、ウェイランド・コーポレーションという巨大企業の建造した宇宙船プロメテウスに乗り込み、その惑星へ向かう。
到着した惑星には、人工的な建築物があった。
その内部を調査する一行だが、そこで予想だにしないトラブルに次々と見舞われる。
果たしてその惑星は何なのか? 一行を待ち受ける運命の結末は?
感想
前々からのワーナーマイカルのごり押しが多少気になっていたが、監督はリドリー・スコットだし、SFは好きなジャンルだし、「人類の起源」というテーマもわくわくするし、観て損はないはず、と足を運んだ。
しかし作品は、リドリー・スコット得意の、SFアクション物だった。
いやSFアクションが悪いというわけではないし、映像はとても迫力があり、映画館の大スクリーンで観るべきものであったとは思うのだが、やはり問題は、ストーリーであった。
映画というのは、2時間から3時間ほどで物語を完結させなければならないという特性上、テーマをぎゅっと凝縮させ、そのテーマをもっとも効果的に、印象的に演出するべきストーリーが要求される。
そしてストーリーを展開させていく上で、もっとも基本的で効果的な手法は、「伏線」である。
一見関係のなさそうに見えるエピソードが、終幕近くで連鎖反応的に繋がり、物語の謎が一気に解ける、とか、観客を間違った方向へ誘導しつつ、ヒントを小出しにして、最後でひっくり返す、とか、伏線の張り方もいろいろあろうが、この作品に関して言えば、そういった伏線が、残念ながらほとんど見受けられなかった。
未知の惑星で、調査員が次々と思いも寄らないアクシデントに襲われる。それはいい。それはいいのだが、それぞれのエピソードが単発に終わってしまって、繋がっていかないのである。故に、ストーリーの進行とともに解かれていくはずの謎が、一向に解かれていかない。で、謎は謎のまま終わる。だから、何だそりゃ、という感想しか残らない。
ひょっとして理解できない私の頭が悪いのだろうか、と一瞬うろたえる。まあ、私の頭が悪いのは事実なのだが、しかし、本編が終わり、エンドロールが流れ始めた途端、客席がわずかにざわめいたのを見て、よかった、理解していないのは私だけではなかったのだと安心した。
それくらい分からないのである。
この映画のネットでのレビューを見ると、難解、とか、深遠、とかという単語が並んでいるが、おそらくこの作品は、難解でも深遠でもなく、単に説明不足なのだろうと思う。
そんな小難しいことはいいんだよ、がんがんくるアクションを堪能してくれ、というのなら、「人類の謎」などという大上段に振りかぶったテーマは掲げない方がいい。「人類の謎」なんてこれっぽちも解かれないし、逆に、細かい謎ばかりが山積してそのまま投げっぱなしにされるので、頭に巨大なクエスチョンマークが点灯するハメになる。
誰か、頭の悪い私に、この映画をすっきり説明してくれ。
納得させてくれたら、ビールくらいおごるぞ。